なぜ、あのIoTアプリだけがいち早く成功できたのか?
ユーザーの「読後感」をおろそかにしない初期コンセプトワークです。
というのが、私の答えです。
タイトルにある「あのIoTアプリ」というのは私が取締役を務める会社が、世界有数のシェアを誇る某インフラ機器メーカー様と開発したIoTアプリのこと。
基本的には数十万円する専用機器をご購入いただいた方に提供されるアプリですので「巷でよく目にする」というようなものではありませんが、おかげさまでユーザー様の多くから大変好評なフィードバックが寄せられています。
キャンペーン的な「なんちゃってIoT」とは違い、生活インフラに関わるものですので機器とのBluetooth連携からのフルスクラッチ開発でしたから、開発チームの苦労は涙なしには見られないほどの壮絶さ(まぁ私はそっち側じゃなかったんですけどね)。そんな彼らの努力があったからこその成功なのは間違いないのですが、それに加えて今回の結果はそこに至るまでのコンセプトワークにこそ鍵があったと私は考えています。
使用する技術のフレームワークが決まっているところ(この場合だとBluetoothスマホ連携)からプロジェクトがスタートすると「技術的な作業をいかに効率的にこなすか?」が優先されてしまいがちで、「最終的にユーザーになにを提供するのか?」という部分に血が通わない結果になってしまうことが多いんです。(で、ちなみに私のプロジェクトではこの「最終的にユーザーになにを提供するのか?」を「ユーザーの読後感」と呼んでいます。)
逆にコンセプトワークの段階で技術理解やエンジニアサイドとの意思疎通が全く考慮されていないと今度は、ふわふわしたポエムのようなきれいごとのコンセプトもどきが生産されてしまいます。(広告系のコピーライターの人がWeb系に絡んでくるとこういうことよくやらかしますよね。私も昔はそうでした…)
それに対して今回は、クライアントのリーダーの慧眼によりプレゼンテーションの段階から「コンセプトから技術までの一気通貫がよかった!」という観点で選定していただきましたので、チーム全体の意思疎通の基盤になるコンセプトワークを最初から強固に持つことできていました。
ちなみに先日新たに上がってきたユーザーアンケートの回答に期せずして(外に対しては全く打ち出していない言葉なのに)私たちが立てたコンセプトと同じ言葉が「非常に満足しているポイントです。」として書かれていたときには思わずエクセルシートに涙がこぼれましたよ。
というわけで最新の技術と絡むプロジェクトであればあるほど大切なのはそのプロジェクト全体をいかにして「血の通った人間の行ない」として動かしていくのか、いけるのか、という意識に基づくディレクション。そして、
ユーザーの「読後感」をおろそかにしない初期コンセプトワークです。